日本一の総長は、本当は私を溺愛している。
校舎を出ると直ぐに涙が溢れ出す。
泣きたくなんかないのに。
物陰に隠れて声を殺して泣く。
大丈夫怖くない。
あの子はもう居ないし
篤紀とやらもいない。
「こ、怖かった。」
ポロリと出た本音に急いで口を塞ぐ。
弱気を見せたらダメだ。
ダメ、
悠月に、嫌われてる。
だめ、
っっ、怖かったよ。
また、悠月に大丈夫だよって言って欲しい。
そんなこと、ある訳ない。
あの子は、白龍のお姫様だから。
だから、悠月が来るなんて
「桃華」
こんな風に呼びかけてくれるなんて
絶対
な、「桃華!!」
え、
か無理やり上げさせられ顔の先には
悠月がいる。
なん、で、
涙でグチャグチャになった目でもわかる程
困った笑みを浮かべている。
「桃華」
「な、のんで、ここに居るの」
「桃華のために決まってる」
「百合ちゃ、お姫様は?」
「はぁ?知るかあんなやつ
それより、俺は、桃華の方が大事」
「ゆ、悠月〜〜」
「はは!そんな泣くなって〜」
「だって、だってぇ〜」
「よし、桃華!」
両手を持って思いっきり引かれる。
バランスを崩しながら立ち上がると
悠月がしっかり支えてくれる。
「デート行こうぜ!」
「は?」
「ほらほら!行くぞー!」
「え、ちょ、まって!?」
「待たないー!思い立ったら即行動!」
「無理無理!こんな顔じゃ無理!」
「えーなんで?
桃華いつもみたいに可愛いよ?」
「涙でグチャグチャだもん!!
絶対むり!!」
「聞きませーん」
「うぇ、きゃゃぁ!!」
米俵みたいに肩に担がれる。
やめて!恥ずかしい!!
「いや、ほんとに降ろして!!
はずがしいよ!」
「大丈夫だって!!」
「何一つ大丈夫な事がない!!」
「ふふ、いいじゃーん!いこー!」
ようやく降ろされたと思ったら
バイクの上でした。
なんで!?
「ちょ、悠月!何して」
ガポッとヘルメットを被せられる。
「捕まっとけよ」
「え、ちょ、いやぁぁあー!!!」