日本一の総長は、本当は私を溺愛している。
ゴミが増えた。



「あ、学校でさ」



そうやって話し始める悠月を無視して
手元にある本をめくる。



完全に音をシャットダウンして
本に集中する。



見た目はそこら辺に売ってある英語の本。



実際は機密文書。



暗号を使って記されているそれは
今朝、正信が持ってきたものだ。



お前らならいちいち書類引っ張って
照らし合わせないといけないだろうけど
こっちは全て記憶してるんだよ!!



こんなんじゃ読み終わるのに
2時間もかかんない!!



仕事させないために持ってきたんだろうけど
普通に本読んでるのと変わんないんだよね。



「東華?聞いてる?」



「聞いてない」



「またかー!」



「帰ってよ」



「んー、今日こそは東華の気になる話題と
思ったんだけどなー」



いや、聞けよ。



ピキっ



使っていた腕に痛みが走る。



どうやら傷が開いたようだ。



みるみる赤く染る包帯はため息が出る。
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