日本一の総長は、本当は私を溺愛している。
「東華」



顔を上げて彼女の顔を見る。



真っ赤に染まったその顔は美しく。



無意識に手を頬にかぶせる。



「東華」



「ちょ、やめ。」



取り乱す東華の唇に



そっと唇をのせる。



俺を押していた手が固まる。



その手を絡め取り、
一本一本を確認するように隙間を握りしめる。



チュッ



音をたてて離れる。



東華は悲しそうに下を向く。



「東華?」



東華の額にキスをして顔を覗き込む。



その、



不安そうな顔の意味がわからない。



「ゆ、づき。」



「ん?」



名前を呼んでくれた嬉しさに



久々彼女が紡ぐ悠月に、
嬉しさが込み上げるが



取り付くうように返事を返す。



「はな、れて」



「なんで?」



離れたくない。



君を離したくはない。



せっかく会えんたんだ



ここで君を逃したら



きっと君はこの腕の中には戻ってこない。



「悠月
お願い。」



「ごめんね。
そのお願いだけは、叶えれそうにない」



「おねがい悠月。」



「ごめんね」



「お願い」
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