日本一の総長は、本当は私を溺愛している。
「東華」



門に出ると正信が合流した。



「大立は?」



「黒田と逃げたようでいません」



「そう。
とんだ無駄足ね」



正信が肩をくすめるだけで答える。



「東華様.....」



後ろから、
懐かしい声がする。



「渉」



渉がゆっくりと腰をおってお辞儀をする。



「お久しぶりです」



「えぇ、そうね。」



「ご一緒しても?」



「つ信用してるものだけ連れて
私の車を追いなさい」



「かしこまりました」



また深く一礼すると門の中へ戻る。



「すんげー礼儀正しいんだな」



「1からしつけたら当たり前よ」



「そーだろよ」



「正信。車を」



「へいへい」



「零。」



道路の反対側に、いきなり人が現れる。



ナンバーズを率いる最高傑作。
通称零。



気配もしなければ殺気もない。



目の前を通っても気付くかどうかは五分五分。



それほど存在感がない。



「どこへ?」



「泉南の滝へ」



老若男女どれとでも取れるような声。



「チッ、面倒なところね」



足下に向けていた視線を戻すと
もう既にそこに零はいない。
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