日本一の総長は、本当は私を溺愛している。
目の前に車が入ってる。



正信が開けた車の扉に乗り込む。



「泉南の滝に」



「かしこまりました。」



車が静かに滑り出す。



「東華。
源次郎様から電話だ」



「繋いで」



軽い機械音とともにお爺様の声がする。



「どうじゃ進展は?」



「申し訳ありません。
取り逃しました」



「よいよい。
むしろ1発で捕まえれたら
そんなやつをそばに置いとった儂が恥ずかしい」



ほっほっほ



軽快な声で笑う。



「それでの、東華」



「なんでしょうか」



「黒田を、生かして連れて来なさい」



「....理由をお聞きしても?」



「ふむ、赤瀬がおらんくなった今
黒田を失うのはちとぶが悪くての


だから黒田は妃瀬に引き入れようと思うてな」



「ならば、黒田の殲滅も辞めさせます。」



「おぉ、頼んだ。
じゃーの」



プツンと電話が切れる。



黒田は、



生かす。



唇を噛み締める。



「正信」



「なんだ。」



「貴方は、
私の言うことに絶対に従わないといけないの」



「そんぐらいわかってる。」



「なら、今誓いなさい。」



「私の命を使い、どうぞ勝利へ」



っ、



「そうね、勝利よ。」
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