日本一の総長は、本当は私を溺愛している。
「東華」



「悠月。」



「桃華」



っ、



桃華と呼ばれ、言葉に詰まる。



「とう、」



触れようとする悠月の手を弾く。



私は、汚れている。



だから、



だめ。



「東華」



ゆっくりと、



軽く抱きしめられる。



「大丈夫。
東華は、東華だよ。」



背中に、手を回す。



ギュッと服を掴んで涙が流れる。



「悠月」



「うん、大丈夫。
俺は、消えない」



ゆっくりと頭を撫でられる。



「悠月」



「大丈夫。
東華は、汚れてない。」



さらに力を入れて服を掴む。



「悠月」



「うん。」



「ごめんなさい。」



「っ!!!」



悠月の服を思いっきり掴んで後ろに引き、
渉の方へ蹴り飛ばす。



綺麗に渉の方へ飛んでいき
巻き込んで転がる。



「ホントに、ごめんね」



ニッコリと、



まるで桃華の時のように笑う。



そして、



すぐそこにある滝壺へ、



背を向けて飛び込む。



「ヂッ!!」



軽い舌打ちが聞こえ正信が私の手を掴み
一緒に落ちる。



あぁ、ごめんね、正信



私のせいで、



きっと奥さんに怒られちゃうわ。
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