日本一の総長は、本当は私を溺愛している。
覚悟を決めて
渉の事があってから
悠月は私にひっつき虫となった。
学校に来ると
昇降口におり
授業が始まれば渋々廊下で待機
チャイムがなれば
終わっていなくても乗り込み
また、チャイムが鳴れば出て行く
そんな"月の白龍"に
教室内のいじめはなくなった。
渉とは
目も合わせず
静かに冷戦を繰り広げている。
そして、
渉もまた、
度々学校に来なくなった。
解放されるのは
二人っきりの屋上のみ。
それ以外は、
必ず手を繋ぐか
抱きついている。
まるで、
消えてきしまいそうなものを
つなぎ止めているかのように。
「ねえ、桃華」
「なに?」
屋上は
いつでも私達を歓迎してくれる。
「愛してる」
「うん?
うん。私もだよ」
「だから、桃華は
狙われる」
「うん。」
「嫌なら、」
言いたくても言えない
そんな顔をした
迷子の男の子がそこにはいた。