日本一の総長は、本当は私を溺愛している。
お弁当を取りに屋上に上がる。
昼休みにこんなにドキドキしてるのは
案外初めてではないだろうか
ハシゴを使って登るが
顔を出して見た限りお弁当箱は、ない
嘘。もー、お気に入りだったのにー
ママは気にしなくていいよって
言ってくれたけど悪いし。
お弁当食べれなかっただけでも
悪いのに無くすなんて。
大きくため息をついて
レジャーシートを広げ始める。
あのヤンキーの人が持って行ったのかな?
お弁当を食べていると
扉の開く音がする。
「おぉー!誰もいねーじゃん!
ここで飯食おーぜ!」
え、昨日と違うヤンキー
バレないようにタンクの後ろに隠れる。
どうかバレませんように!
お弁当はしっかり食べるけど!
んー、今日のスクランブルエッグ美味しー
あ、昨日の残りのお肉入ってる。
ラッキー
美味しー、ママにほんとに感謝。
「あ、」
ん?
ハシゴの方から音がするから見たら
昨日の男の人がいた。
また、鉢合わせ。
もー、最悪!
「ごめんなさい。直ぐに退きます。」
今度はお弁当を忘れないように
しっかりと握る。
でも、降りたいけど男の人が
ハシゴから動かないから降りれない。
どうしよう。
飛び降りろってこと?
んー、結構高いし、怖いな。
「ねぇ、」
「は、はい!」
「お弁当美味しかった。
ごめんね、勝手に食べちゃって」
男の人はそう言って
私にお弁当箱を差し出してきた。
男の人の近くに行っていいのか
迷ってしまい手が行ったり来たりする。
「あれ?もしかしてこれ捨てる
お弁当箱だった?」
大分丈夫だったし、
使い回しだと思ったんだけど
と男の人が言うのでどうしようか迷う。
貰ったらまた一ノ菌と言われるし
でも、貰わなかった捨てられそうだし。
「えーと、要らなかった?」
「いえ!お気に入りのお弁当箱で、」
「なら、良かった。」
男の人はハシゴから離れると
私の手首を握り、手のひらの上に
お弁当を箱を置く。
「すんごい美味しかった。
作ったの?」
「いえ、まま、お母さんです。」
触れられたことに困惑しながらも
返事を返す。
少し、握られたか手が熱を持つ。