堕天使
愛菜は樹の恋愛事情を知っていた。

それ以前にどうでもよかったのかもしれない。

今はただ、眠って。

目の前の現実から逃れたかったのかもしれない。


「ねぇ、いつき君…」

「何です?」

「どうして親切にしてくれるの?」

樹の握ってくれた手のぬくもりに愛菜は安心する。

さみしかったのだろうかと今になって考える。

「…それは今は答えられません。後でね」

何だよそれ…と愛菜は言おうとしたが睡魔には勝てなかった。
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