マリンブルーの魔法
香辛料の効いた海の幸を波瑠は食べた。グリルした魚や、タコのマリネ、野菜の揚げ物など、咀嚼する波瑠をセーラは微笑みながら見つめていた。

夕食が終わった頃には、すっかり日が暮れていた。ビーチを照らしていた太陽は消え、辺りは暗くなっている。

「Would you like to go see the stars now?(今から星を見に行かない?)」

波瑠が返事をする前に、セーラは波瑠の手を取りビーチへと飛び出していた。

ビーチに置かれたサマーベッドに寝転び、二人は空を見上げる。煌めく星は時間を忘れさせ、波瑠は夢中で星を見ていた。まるでプラネタリウムにいるようだ。

「セーシェルでは、こうやって何もない贅沢ができるんだ」

隣でセーラが言い、海に向かって手を伸ばす。すると青く輝く波が舞い上がり、消えた。

「私、小さい頃からこんな風に不思議な力が使えた。そのせいで友達ができなかったし、悪い人に力を狙われたりもした。それでも、この力が好きで誰かに見せたいってずっと思ってたんだ」
< 11 / 14 >

この作品をシェア

pagetop