マリンブルーの魔法
「ごめんね、無理やり移動させちゃって……」

「移動……?」

女の子は波瑠の手を取り、立ち上がらせる。手の温もりに波瑠の目が細くなる。

「あなたがさっきまでいたのは、××のビーチ。今あなたは私のプライベートビーチにいるの」

「……そう」

いきなりこんなことを言われれば、普通ならば戸惑うものなのだろう。しかし波瑠は驚いたりしない。

「Are you surprieed?(驚かないの?)」

女の子は驚いた様子で訊ねる。波瑠はこくりと頷いた。

「I have no emotion(私には感情がありません)」

波瑠がそう言うと、女の子は「これでも?」と海に向かって指を伸ばす。すると、海の波がまるで生き物のように女の子の手の動きに合わせて動き出した。波瑠はそれをじっと見つめる。

「これを見て驚かない人、あなたが初めて!」

女の子はそう言って、名前を教えてくれた。セーラ・ミッシェル。お金持ちのお嬢様だそうだ。
< 4 / 14 >

この作品をシェア

pagetop