素直になるまで、少し待って
◆
友達になって、一年。
高校生になって二回目の夏休みを迎えようとしている。
「本当、美桜ってば素直じゃないんだから。これで何回目?」
学校に行ってすぐ、昇降口で親友の柚希がため息交じりに言ってきた。
昨日も葉山君に告白されて、断ったと言ったらこう言われた。
自分でもわかっている。
とうの昔に葉山君のことが好きになっているのに、葉山君の告白を断る馬鹿だって。
「断られる葉山君の身にもなってみなよ」
耳が痛い。
私は柚希の言葉を聞き流して、廊下を歩く。
私だって、自分の気持ちを伝えたい。
だけど、一年も断ったのに、今さら言えない。
「美桜が素直になれたら、それはそれで怖いか」
呆れられていることに変わりはないけど、今度は違うことでため息をつかれた。
「花川さん!」
後ろから元気な声が聞こえてきた。
葉山君は私たちの前に立つ。
「おはよう!」
「……おはよう」
ついさっきまでの会話のせいで、向日葵のように笑う葉山君から目をそらした。
「凌空」
一方的に気まずく、無言になっていたら、誰かが葉山君の名前を呼んだ。
葉山君を呼んだのは私よりも綺麗な子だった。
友達になって、一年。
高校生になって二回目の夏休みを迎えようとしている。
「本当、美桜ってば素直じゃないんだから。これで何回目?」
学校に行ってすぐ、昇降口で親友の柚希がため息交じりに言ってきた。
昨日も葉山君に告白されて、断ったと言ったらこう言われた。
自分でもわかっている。
とうの昔に葉山君のことが好きになっているのに、葉山君の告白を断る馬鹿だって。
「断られる葉山君の身にもなってみなよ」
耳が痛い。
私は柚希の言葉を聞き流して、廊下を歩く。
私だって、自分の気持ちを伝えたい。
だけど、一年も断ったのに、今さら言えない。
「美桜が素直になれたら、それはそれで怖いか」
呆れられていることに変わりはないけど、今度は違うことでため息をつかれた。
「花川さん!」
後ろから元気な声が聞こえてきた。
葉山君は私たちの前に立つ。
「おはよう!」
「……おはよう」
ついさっきまでの会話のせいで、向日葵のように笑う葉山君から目をそらした。
「凌空」
一方的に気まずく、無言になっていたら、誰かが葉山君の名前を呼んだ。
葉山君を呼んだのは私よりも綺麗な子だった。