素直になるまで、少し待って
でも、全然そんなことなかった。
むしろ、なにもしてこなかった私は、霧崎さん以上に葉山君から遠い存在だ。


「やっと素直に行動する気になった?」


……さすが、私の親友。
だけど、行動したいと思ってもなにをすればいいのかわからない。


いや、わかっているんだと思う。
ただ、それを行動に移す勇気がない。


私はまた顔を伏せた。


「美桜?」


私は少しだけ顔を上げ、目線だけ柚希に合わせる。


「ねえ、柚希……私……思ったより、好き、みたい……」


霧崎さんの登場で、葉山君の隣なんて簡単に奪われてしまうんだとわかった。
葉山君といられないなんて、考えたくもない。


「花川さん、好きな人がいるの……?」


私は体を起こし、振り返る。


タイミング悪く話を聞かれたらしく、後ろにいた葉山君がなんとも言えない表情をしていた。
勘違いをされていることはすぐにわかった。


でも、なにをどう言えばいいのかわからなかった。


「それなら、早く言ってくれればよかったのに。僕の気持ちなんて、迷惑だったよね」


違うと否定したいのに、言葉が出てこない。


葉山君は笑顔を取り繕った。
その泣きそうな表情に、胸が締め付けられる。
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