素直になるまで、少し待って
大げさだと思った。
でも、好きな人に自分の思いを知ってもらえて、こうして隣にいてもいいとなると、わからないこともないと思った。


「霧崎さんに協力してもらってよかった……」
「……え?」


独り言のつもりだったんだと思う。
でも、私に抱き着いたまま呟いて、聞こえないわけがなかった。


「あれって……演技、だったの……?」


私から離れた葉山君は、目を泳がせる。
そして勢いよく頭を下げた。


「ごめんなさい!」


上がってきた葉山君は、本当に反省しているように見えた。


「一年も告白して、断られて……僕はずっと好きだけど、本当に嫌がられていたら嫌だなって思って……だから、確かめるみたいなことを……」


素直にならなかった私が悪かったらしい。
落ち込む葉山君の頭に手を伸ばす。


「いいきっかけになったから、もういいよ。私こそ、素直に言えなくてごめん」


葉山君は泣きながら首を横に振った。


涙を拭った葉山君はいつものような笑顔を見せてくれる。


「……僕の、彼女になってくれますか?」
「はい。こんな私ですが、よろしくお願いします」


二人そろって照れ笑いを浮かべた。
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