したたかな恋人
第10章 どういう事ですか
そして次のデートの日。
私達はお弁当を持って、公園に来ていた。
「あー!いい天気。」
「ああ。晴れてよかったな。」
帽子を被って、炎天下の中、圭司と二人きりで過ごす一日は、疲れた心をリフレッシュできる。
ちょうど大きな木の下に、みんな集まっていて、私達もそこにお邪魔した。
シートを敷いてその上に座ると、私はお弁当を広げた。
「うわー、美味そう。」
「食べて食べて。」
「ウィンナーからいこうかな。」
「私も。」
二人で同じものを食べて、笑顔になった。
「これも食べて。」
「卵焼きか。」
圭司のいいところは、好き嫌いがないところだ。
料理の作り甲斐がある。
「そうだ。お弁当食べ終わったら、付き合って欲しい場所があるんだ。」
「どこ?」
「それは、行ってみてのお楽しみ。」
最初は買い物に付き合わされるのかと思っていた。
「じゃあ、行こうか。」
「うん。」
お弁当を食べ終え、シートを片付け、私達は公園を後にした。
「こっちこっち。」
圭司は程よく私をリードしてくれた。
そして圭司と手を繋いだ。
「ん?」
「ううん。」
顔を覗いてくるのが、たまらなくカッコ良くて、思い切って彼の胸に飛び込んだのは、正解だったかなと思う。
「ほら、ここだよ。」
「えっ?どこ?」
見上げると、有名な宝石店だった。
「もしかして、指輪?」
「当たり。」
二人でお店の中に入って、手前から一つずつ見て行った。
「あっ、これがいいな。」
私が指さしたのは、シルバーリングだった。
「宝石付いてなくていいの?」
「うん。いつも指輪していたいから。」
「それなら、こっちの方がいいよ。」
圭司が指さしたのは、小さな宝石が飾られた指輪だった。
「なんだか、婚約指輪みたい。」
「ああ、そうだよ。」
私達は顔を合わせた。
「この前、いつかしようって言ってただろう?」
「そうだけど、こんなに早く婚約指輪貰っても……」
「いいんだ。結婚は急がない。ただ、俺の誠意を見せたいんだ。」
誠意だなんて、誰も疑っていないのに。
「いいね。」
「うん。」
そして圭司は、私の左手の薬指にぴったりな指輪を買ってくれた。
「これで、悪い虫もつかない。」
「もう。」
指輪を箱に入れて貰って、私と圭司は、お店の外に出た。
「早速してみなよ。」
「ここで?」
「指輪しているところ、早くみたいんだ。」
私が箱を開けると、圭司が指輪を取った。
「左手出して。」
「ええ。」
左手をそっと差し出すと、圭司は薬指に、指輪をはめてくれた。
「ああ、いいね。由恵の綺麗な指に映える。」
そのセリフに、私は恥ずかして身体をしぼませた。
「圭司って、恥ずかしいセリフをよく言えるわね。」
「俺が言ってる訳じゃない。由恵が俺に言わせているんだ。」
「ええ!私そんなの言ってない。」
圭司はクスッと笑って、私の頭の上に手を置いた。
「綺麗な人に綺麗だって言わないのは、失礼だろ?それと一緒。由恵の綺麗な指も綺麗って言わないと、指が可哀そうだ。」
「……また、そんな事言って。」
でも私は幸せだった。
この人となら、新しい人生を共に歩んでいける。
その覚悟をあるから、婚約指輪も受け入れた。
「圭司。ずっと一緒にいようね。」
「ああ。約束しよう。」
「うん、約束ね。」
お互いの顔を見合って、私達は大事な約束をした。
しばらくして、奥田課長が私達に教えてくれた。
「岡と杉浦の企画、会議で通ったよ。」
「うわー。よかった。」
一安心の私に対して、圭司はあまり現実味がなさそうだ。
「杉浦君。会議を通ったって事は、私達の企画が商品化されて、PR動画が、人の目に触れるって事よ。」
「ええ!そうなんだ。よかった。」
嬉しそうな表情。
プランナーの第一目標は、自分の企画が通るかどうかだもんね。
しかも入社して1発目で企画が通るなんて、すごいよ。
「そこでなんだが。」
奥田課長が、一枚の紙を渡した。
「この企画も、岡と杉浦にやってほしいんだ。」
私は驚いた。
企画が通ったとは言え、これからもまだ、制作スタッフ等との打ち合わせもあるのに。
「杉浦君はまだ入社したてで、二つの案件を持つのは、難しいです。私がやります。」
すると圭司は、奥田課長が持っている紙を、受け取った。
「気を遣わせてすみません。俺もやります。」
「杉浦君。」
「俺、一人じゃないんで。岡さんが付いてくれるなら、安全でしょう。」
「決まりだな。」
奥田課長も、そのまま席に戻って行った。
「圭司。本当に大丈夫なの?」
「由恵が一緒にいてくれるなら、百人力だよ。」
余裕の顔で前を向いて、早速考え込んでいる圭司を見ると、働く男って感じがする。
そんな圭司を見ると、助けたくなる。
「私にも見せて。」
圭司に顔を近づける。
「綺麗な指輪だね。」
「あなたが贈ってくれたんでしょ。」
その時だった。
後ろからバサッと言う音がした。
圭司と一緒に振り返ると、明日実ちゃんが立っていた。
「……すみません。」
明日実ちゃんは、落とした書類を拾い上げると、オフィスの外に出て行った。
「明日実ちゃん?」
慌てて彼女を追うと、廊下の真ん中で彼女は止まった。
「どうしたの?明日実ちゃん。」
すると明日実ちゃんは、私の方を振り向いて、睨んできた。
「婚約したんですか?杉浦さんと。」
「えっ……」
私は左手の薬指を隠した。
もしかして、さっきの会話聞かれていた?
「ひどい。私が杉浦さんを狙っているのを知っていながら、裏で杉浦さんに言い寄っていたんですね。」
「違う!」
「何が違うんですか。もういいです。岡さんがそんな人だとは、思いませんでした。」
そう言って明日実ちゃんは、トイレの方へ走って行った。
私達はお弁当を持って、公園に来ていた。
「あー!いい天気。」
「ああ。晴れてよかったな。」
帽子を被って、炎天下の中、圭司と二人きりで過ごす一日は、疲れた心をリフレッシュできる。
ちょうど大きな木の下に、みんな集まっていて、私達もそこにお邪魔した。
シートを敷いてその上に座ると、私はお弁当を広げた。
「うわー、美味そう。」
「食べて食べて。」
「ウィンナーからいこうかな。」
「私も。」
二人で同じものを食べて、笑顔になった。
「これも食べて。」
「卵焼きか。」
圭司のいいところは、好き嫌いがないところだ。
料理の作り甲斐がある。
「そうだ。お弁当食べ終わったら、付き合って欲しい場所があるんだ。」
「どこ?」
「それは、行ってみてのお楽しみ。」
最初は買い物に付き合わされるのかと思っていた。
「じゃあ、行こうか。」
「うん。」
お弁当を食べ終え、シートを片付け、私達は公園を後にした。
「こっちこっち。」
圭司は程よく私をリードしてくれた。
そして圭司と手を繋いだ。
「ん?」
「ううん。」
顔を覗いてくるのが、たまらなくカッコ良くて、思い切って彼の胸に飛び込んだのは、正解だったかなと思う。
「ほら、ここだよ。」
「えっ?どこ?」
見上げると、有名な宝石店だった。
「もしかして、指輪?」
「当たり。」
二人でお店の中に入って、手前から一つずつ見て行った。
「あっ、これがいいな。」
私が指さしたのは、シルバーリングだった。
「宝石付いてなくていいの?」
「うん。いつも指輪していたいから。」
「それなら、こっちの方がいいよ。」
圭司が指さしたのは、小さな宝石が飾られた指輪だった。
「なんだか、婚約指輪みたい。」
「ああ、そうだよ。」
私達は顔を合わせた。
「この前、いつかしようって言ってただろう?」
「そうだけど、こんなに早く婚約指輪貰っても……」
「いいんだ。結婚は急がない。ただ、俺の誠意を見せたいんだ。」
誠意だなんて、誰も疑っていないのに。
「いいね。」
「うん。」
そして圭司は、私の左手の薬指にぴったりな指輪を買ってくれた。
「これで、悪い虫もつかない。」
「もう。」
指輪を箱に入れて貰って、私と圭司は、お店の外に出た。
「早速してみなよ。」
「ここで?」
「指輪しているところ、早くみたいんだ。」
私が箱を開けると、圭司が指輪を取った。
「左手出して。」
「ええ。」
左手をそっと差し出すと、圭司は薬指に、指輪をはめてくれた。
「ああ、いいね。由恵の綺麗な指に映える。」
そのセリフに、私は恥ずかして身体をしぼませた。
「圭司って、恥ずかしいセリフをよく言えるわね。」
「俺が言ってる訳じゃない。由恵が俺に言わせているんだ。」
「ええ!私そんなの言ってない。」
圭司はクスッと笑って、私の頭の上に手を置いた。
「綺麗な人に綺麗だって言わないのは、失礼だろ?それと一緒。由恵の綺麗な指も綺麗って言わないと、指が可哀そうだ。」
「……また、そんな事言って。」
でも私は幸せだった。
この人となら、新しい人生を共に歩んでいける。
その覚悟をあるから、婚約指輪も受け入れた。
「圭司。ずっと一緒にいようね。」
「ああ。約束しよう。」
「うん、約束ね。」
お互いの顔を見合って、私達は大事な約束をした。
しばらくして、奥田課長が私達に教えてくれた。
「岡と杉浦の企画、会議で通ったよ。」
「うわー。よかった。」
一安心の私に対して、圭司はあまり現実味がなさそうだ。
「杉浦君。会議を通ったって事は、私達の企画が商品化されて、PR動画が、人の目に触れるって事よ。」
「ええ!そうなんだ。よかった。」
嬉しそうな表情。
プランナーの第一目標は、自分の企画が通るかどうかだもんね。
しかも入社して1発目で企画が通るなんて、すごいよ。
「そこでなんだが。」
奥田課長が、一枚の紙を渡した。
「この企画も、岡と杉浦にやってほしいんだ。」
私は驚いた。
企画が通ったとは言え、これからもまだ、制作スタッフ等との打ち合わせもあるのに。
「杉浦君はまだ入社したてで、二つの案件を持つのは、難しいです。私がやります。」
すると圭司は、奥田課長が持っている紙を、受け取った。
「気を遣わせてすみません。俺もやります。」
「杉浦君。」
「俺、一人じゃないんで。岡さんが付いてくれるなら、安全でしょう。」
「決まりだな。」
奥田課長も、そのまま席に戻って行った。
「圭司。本当に大丈夫なの?」
「由恵が一緒にいてくれるなら、百人力だよ。」
余裕の顔で前を向いて、早速考え込んでいる圭司を見ると、働く男って感じがする。
そんな圭司を見ると、助けたくなる。
「私にも見せて。」
圭司に顔を近づける。
「綺麗な指輪だね。」
「あなたが贈ってくれたんでしょ。」
その時だった。
後ろからバサッと言う音がした。
圭司と一緒に振り返ると、明日実ちゃんが立っていた。
「……すみません。」
明日実ちゃんは、落とした書類を拾い上げると、オフィスの外に出て行った。
「明日実ちゃん?」
慌てて彼女を追うと、廊下の真ん中で彼女は止まった。
「どうしたの?明日実ちゃん。」
すると明日実ちゃんは、私の方を振り向いて、睨んできた。
「婚約したんですか?杉浦さんと。」
「えっ……」
私は左手の薬指を隠した。
もしかして、さっきの会話聞かれていた?
「ひどい。私が杉浦さんを狙っているのを知っていながら、裏で杉浦さんに言い寄っていたんですね。」
「違う!」
「何が違うんですか。もういいです。岡さんがそんな人だとは、思いませんでした。」
そう言って明日実ちゃんは、トイレの方へ走って行った。