冬 -Domestic Violence-
仕事終わりで疲れてるはずなのに、
マー君はいつも料理を振る舞ってくれた。
“練習してるだけだから”と謙遜するけど、
器用に包丁を扱うその右手も、
途中で味を確かめる左手小指も、
“トントン”とまな板が小気味よく鳴る音は・・その後ろ姿は・・
どんな疲れも癒やしてくれる魔法の時間。
「・・・・・ンッ・・・アッ・・」
「・・・・・・。」
「・・・ンッ!・・マー君・・
音立てないで・・恥ずかしいよ・・。」
「・・・・・・。」
「・・アッ!・・・・・・。」
「「・・・・・・・・・。」」
「シオリ左の方が感じるでしょ?」
「・・・!」
「わっごめん!」
「「・・・・・・・・・・。」」
美しい瞳 私を見つめる。
美しい指先 私をなぞる。
美しい言葉 私に囁く。
激しい舌先 私と絡み合う。
手のひらを重ねて、二人で夜に漕ぎ出す。
理性が飛んでいく夜間飛行。
「マー君・・・・。」
「うん・・?」
「・・・・・・・・。」
「・・え・・もしかして痛かった!?」
「ううん・・・。」
こんなにもあなたの事を想ってるのに、
一秒針が進むごと強くなる。
体中に広がった愛も、
終わった後に抱きしめてくれる愛も、
どんな疲れも癒やしてくれる魔法の時間。
マー君の全てが・・今の私の幸せだった。