冬 -Domestic Violence-
“そうだね”と返した後、止まっていた箸を動かしてご飯を一口食べる。
そういえば・・・マー君って・・私の前だとほとんどスマホをいじらない・・。
トイレに行く時も机の上に置きっぱなしで。
私のアラームがあるからってベッドにも持ってこない。
・・・どうして・・?
“お前勝手に携帯見るとかマジありえないからな?”
ううん・・マー君は絶対に大丈夫。
私が余計な心配をしないように、
他の女の子とやり取りしてるなんて勘違いしないように、
きっとあえて触らないようにしてるんだ・・。
「ただいま。」
「お帰りなさい。」
「あれ?今日はお風呂短かったんだね。」
「うん。」
「じゃあ俺もちゃちゃっと入ってすぐ作るね。
今日はちょっと和食やめて麻婆春雨に浮気しちゃうから。」
そそくさとお風呂場に行った後、
聞こえてくるシャワーの音。
「・・・・・・・・・・・・・・。」
目の前に・・テーブルに置かれたスマホ。
大丈夫だよ・・・。
マー君は絶対に大丈・・。
「・・・・・・!?」
ロックなんてされていないと思ってたのに、視界にはパスコード入力画面が現れた。