冬 -Domestic Violence-


「いやぁさっきの上原さん、
超カッコ良かったです!

今度スカッとジャパンに応募しようかな。」


お手洗いを終えた所で、男子トイレから出てきた後輩の山田君と一緒になった。


「ねぇ山田君。証拠は集まってる?」


「はい。録音、録画。
みんなで協力して集めてます。」


「あんな人早くいなくなってもらって、川口主任に早く帰ってきてもらおうよ。」


「そうですね・・。
引き続き頑張ります。」


「じゃあ今日は帰ります。」


「あれ?珍しいっすね。」


「じゃあね。」


「はい、お疲れ様でした。」





マー君・・喜んでくれるかな。


会社を出て、
帰り道の途中にあるスーパーに寄った。


バター、お砂糖、バニラオイル、薄力粉。

卵は・・確かまだ1パック残ってたかな。



それにしても・・お店に行って大将さんの玉子焼きを食べさせてもらう度に実感していた。

差は縮まるどころか、
どんどん離れている気がする。










「ダメだ・・・・。
今日は空気抜きすぎた・・・。」


「大丈夫だよ。これでもすごく美味しい。」


「いやぁでもパッサパサだよ。
ごめんね全然上達しなくて。」

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