冬 -Domestic Violence-


「スマホ貸して。」


「やましい事は何もないけど・・。」


「じゃあブロックして。」


「ちょっと待ってよ。

大将、最近左手の調子が悪くて、

それで完治するまで臨時のバイトを雇おうかっていう話をしてて、

そしたらちょうど浜崎さんが“私手伝います”って言ってくれたから。」


「・・・・・・・・・・・・・・・。」





“浮気浮気うるさくない?短大にサークルないの?付き合いっていうのがあるんだよ”




「・・・・・・・・!!!!」


「痛っ・・!
・・・・シオリ・・・・?」


「・・・・・スッ・・・・スッ・・・・。」


「・・・・ごめん・・でもホントに俺はシオリしか見えてないから・・・・。」


「じゃあ・・抱いて・・・・。」


「・・・・・・・・。」


「来てよ!!!!」







********************************************


「やっぱ・・あんたスゲーな。
どこから気付いたんですか?」


『違和感を持ったのは、

“玉子焼きが床に飛び散る”という文言と、“包丁を突きつける”という文言です。』


「それが・・?」


『仮にも“自分の店を持ちたい”
と大志を抱く中野氏が、

【食材を無碍に扱う事をするのか?】

【料理人にとって“魂”とも言える商売道具を人に向けて使うか?】

もし所詮そんなレベルの人間だったら、

玉子焼きの出来以前に、あの堅物の大将さんが破門にするのでは?と考えました。』


「なるほど・・。」

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