冬 -Domestic Violence-
「スマホ貸して。」
「やましい事は何もないけど・・。」
「じゃあブロックして。」
「ちょっと待ってよ。
大将、最近左手の調子が悪くて、
それで完治するまで臨時のバイトを雇おうかっていう話をしてて、
そしたらちょうど浜崎さんが“私手伝います”って言ってくれたから。」
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
“浮気浮気うるさくない?短大にサークルないの?付き合いっていうのがあるんだよ”
「・・・・・・・・!!!!」
「痛っ・・!
・・・・シオリ・・・・?」
「・・・・・スッ・・・・スッ・・・・。」
「・・・・ごめん・・でもホントに俺はシオリしか見えてないから・・・・。」
「じゃあ・・抱いて・・・・。」
「・・・・・・・・。」
「来てよ!!!!」
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「やっぱ・・あんたスゲーな。
どこから気付いたんですか?」
『違和感を持ったのは、
“玉子焼きが床に飛び散る”という文言と、“包丁を突きつける”という文言です。』
「それが・・?」
『仮にも“自分の店を持ちたい”
と大志を抱く中野氏が、
【食材を無碍に扱う事をするのか?】
【料理人にとって“魂”とも言える商売道具を人に向けて使うか?】
もし所詮そんなレベルの人間だったら、
玉子焼きの出来以前に、あの堅物の大将さんが破門にするのでは?と考えました。』
「なるほど・・。」