冬 -Domestic Violence-


『そこから、玉子焼きを飛び散らせたり、
包丁を突きつけたのは上原さんだと仮定し、

プロファイルを開始しました。』


「それでヒデさんの見解は・・?」



『私は医者ではないので、
断言できませんが・・

彼女は【強迫性障害】を発症していたかもしれません。』


「あのめっちゃネガティブになっちゃうやつ?」


『少し雑な言い方のような気がしますが・・まぁ良いでしょう。

上原さんの日記を見ていると、

中野氏が周りから高い評価を受ける度に、強い不安感や恐怖感に襲われていたようです。』


「・・・・・・・。」


『強迫観念の大きな特徴は、

その内容が“不合理”だと分かっていても頭から追い払うことができない事です。


中野氏の友人の証言にもあった通り、
彼はとても誠実な人間のはずです。

非の打ち所がなく、“自分は愛されている”と感じれば感じるほど、

“いつか裏切られるのではないか?”と不合理な不安に襲われていたと考えます。』

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