冬 -Domestic Violence-
「なんで・・それなら何でそうやって俺達に話してくれなかったんですか!?」
大人しくなったと思ったけど、
ぬるめのコーヒーをがぶ飲みした成田が、空になったカップをテーブルに“ドン!”と置く。
「・・・・・・・・・・・・。」
「・・なんか言ってくださいよハルカさん!!」
「信用した?」
「えっ・・・・。」
「もし成田が私の立場だったとしたら、
中野君の話を聞いてあなたは信用した?」
「そりゃ・・・信じますよ!」
「長さんが作ってくれた犯人の掌型と・・
中野君の掌が限りなく一致しても?」
「!?」
・・それは・・・・まずいぞ・・・。
「小泉、それは本当か?」
「はい。」
「それでもあんたは中野の話を信じる事にしたってか?」
「・・・・・はい。」
「なんでだ?」
「・・・・・・・・・・・・。」
「・・・・・・・。」
「彼が、“被害者”だからです。」
「それだけか?」
「・・・・・・・・・。」
「・・・・・要するに・・
“刑事の勘”って事でいいな?」
「・・・・はい。」
「・・・・・・・・・・。」