冬 -Domestic Violence-
『あの日記帳は、
上原さんが自らの意思で握ったものなのか、
それとも【犯人が握らせたもの】なのか。
ダイイングメッセージと考えれば前者ですが・・
そんな分かりやすいものだったら、
そもそも犯人が隠滅しています。』
「後者だった場合は・・・
中野に罪をなすりつける為・・!」
『現に、DV被害者はどっちであれ、
結果的にオオスカワ署も私達も、“中野氏が犯人”とミスリードさせられましたからね。』
「つまり犯人は・・シオリの顔見知りで、
尚且つ“DV”という二人の関係性も知る人間って事か!?」
『私はそう考えています。』
「・・・・・誰ですか・・・?」
『・・・・・・・・・・・・。』
「・・・・・・・・・・。」
『私がこの世で最も嫌いな台詞ですが、
今は使わざるを得ません。』
「・・・?」
『さっぱり分からん。』
・・・・耐えきれず・・・
椅子からズルッと転げ落ちた・・・。
第9章 完