冬 -Domestic Violence-
「失礼ですが、掌をこちらの型に合わせてもらっていいですか?」
「・・・・・・・・・・・・。」
「これは上原さんの首に残された犯人の掌型です。ピッタリ一致しましたね。」
「こんなの・・僕ぐらいの掌の大きさの人なんていっぱいいるでしょ?」
「・・・・・・。」
「まさか・・こんなもので僕を犯人扱いするつもりですか?
こんなの証拠でもなんでもない。」
「・・・・・・・・。」
『小泉捜査官。』
「・・・はい。」
『お待たせしました。ゴミまみれになった神野くんが見つけてくれましたよ。』
「・・・・・・・・・・・・。」
『彼から2つ伝言です。
“めっちゃ生ゴミ臭いから、
シャワーを浴びてから合流する”
と・・・』
「・・・・・・・・・・。」
『“後は任せた”。』
「・・・・・分かりました。」
「な、なんですか?」
「私達が気付くのがあと1日遅かったら隠滅できたのに・・惜しかったですね。
オオスカワ市のゴミ焼却場で、
今朝、収集車が回収したゴミの中から、
【革手袋】を3つ発見しました。
事前に署から市へ協力を仰いでいたおかげで、
このアパートの地区だけはまだプレス処理もしてもらっていません。」
「!?」
「うちの鑑識班を甘く見ないでください。
最新科学を駆使してもらって、
細胞一つでも見つけてもらいます。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・。」
「上原さんのものは採取済みなので・・
捜査協力として、
あなたのDNAも採らせて頂けますか?」
「・・・・・・・・・・・・・・・。」
「・・・・・。」
「・・・・・・・・・・・・・。」
「・・・。」