冬 -Domestic Violence-


「さっきからあなたの言ってる事。」


「・・・・・・。」


「気持ち悪くてしょうがない。」


「なんだと!!?」


「だからって殺していいの?

結局あなたは話し合うことを放棄して、

ただ一方的に自分の感情を“危害”として上原さんにぶつけたたけじゃない?」



「何を言っても・・小泉さんは僕の気持ちを分かってくれないようですね・・・。

でもこれで良かったじゃないか・・。

あの彼氏、僕のおかげでDV女から解放されたんだから。

僕自身だけじゃない。
僕は彼の事も救ってあげたんだ。」




「・・・・・・・・・・・・・・・・。」




「なんだよ・・・?」


「あの壁を隔てた向こうで何が起きてたかも知らないくせに、

ただの殺人鬼が正義漢ぶらないでくれる?」


「・・・・・!!」


「上原さんにとって最大の不幸は、

浮気男と一緒になってしまった事でも、
パワハラ上司が職場に来た事でも、

中野君を想うあまりに生まれた葛藤でも無くて・・・。」


「・・・・・・・・・。」



「あなたの隣に住んでしまった事だから。」





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