冬 -Domestic Violence-
「・・・・・・・なに?
私の顔に何かついてる?」
「いやいやすんません。
カエデちゃん、田舎のお婆ちゃんに引き取られてノビノビ生活してるようですね。」
「そうだね。」
「・・・ハルカさん・・。せめて子供相手の時ぐらい笑ってくださいよ。」
「・・・・いい加減、
名前で呼ぶのやめてくれる?」
女性、お年寄り、子供。
笑わないからといって、
血が通ってないわけじゃない。
オレの隣に座る鉄仮面は、
いつも弱者の味方に立つ。
“弱きを助け、強きを挫く”
桜井課長がある日教えてくれた。
ハルカさんが警察官に・・
刑事になった理由。
ハルカさんを見た事ある仲間の一人がオレに、
“なんであんな美人が隣にいるのに手出さないんだよ!?”
と、おどけてオレに聞いてきたことがある。
だからハッキリと答えてやった。
あの人はヤリたいとか、恋愛対象だとか、
そんなチープなもんじゃない。
フラフラしながら大人になって、
なんとなく警察官になったオレが初めて尊敬の念を抱いた・・正義の味方だって。
第2章 完