冬 -Domestic Violence-


―――――― 


「だぁぁぁ!!もうっ!
なんなんですかあのインテリオヤジ!」


「ちょっと・・。こぼさないでよ。」


さっき店員さんが持ってきたリエのモスコミュールがもう空になっていた。

“バンッ”と少し乱暴にコップをテーブルに置いたリエが私に前屈みになる。


「“アメリカではファーストネームで呼び合うのが普通だ”

って馴れ馴れしく名前で呼んできてさ!
セクハラで訴えてやろうかな!!」


「・・確かに、川口主任は良くても、
あの人はちょっとイヤだよね。」


「大体、私達が一生~~~懸命作った貿易改革案もあんな軽いノリみたいに却下して、

何様なんですかあのインテリオヤジ!」


「・・・・リエが手伝ってくれたの2ページ分だけだよね?」



再びモスコミュールが空になりながら、その後もリエの愚痴トークは止まらなかった。


ただ、私も思っていた事がそのほとんどだったので、ついつい同調してしまう。


リエは思った事をこうやってちゃんと大声にして発散出来る子。

後輩ながら、そこは私も見習わないといけないなぁ。





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