冬 -Domestic Violence-


―――――― 


「いやぁ・・ビックリしました。」


「私もです・・・。」


「え?じゃあクルミちゃんに聞いて来たわけじゃ・・・?」


「すごい偶然です。
後輩についてきただけで・・。」


「この前、“また機会があったら”なんて言ったけど、ホントに訪れるとは・・

どうぞ、お通しと温かい緑茶です。」


「ありがとうございます。」


「お仕事帰りですか?」


「はい。それで二軒目でここに・・。

あの・・中野さんはここで働いてるんですか?」


「あ、はい。

まだまだ見習いっていう形だけど、
ここで修行させてもらってる感じです。

いつか自分の店を持つのが夢で・・。」


「・・・・・・・・・・・。」


「・・?どうしました?」


「なんだか・・
この前と随分印象が違うなぁって・・。」


「そりゃそうですよ。
一応今は仕事中ですから。

お客様に軽々しい口は聞けません。」


「あ、ごめんなさい。
そうですよね・・。」



「それに・・・。」


「・・・?」


「あの時は結構、お酒の力借りてたんですよ?」


「・・・そうなんですか?」


「借りてでも・・
喋ってみたいなぁって・・。」


「・・・・・・・・・・・・。」


「・・あ!ごめんなさい、
ど、どうぞ揚げ出し豆腐です。」


「え・・・・・。」


「これは俺からのサービスです。」


「ありがとうございます・・。」


「・・・・・・・・・・・・・。」




「・・・・・美味しいです。」


「・・よっっっし!!!」


「・・・フフッ。
そんなガッツポーズしなくても・・。」


「あぁいえ。
今日は俺がこれ作らせてもらったので。」


「味が染みててとっても美味しいです。」


「あぁ~今の録音してぇ・・・。」


「・・・フフッ。」


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