冬 -Domestic Violence-
「・・・・・。」
部屋をぐるり見渡すと、
顕著に荒らされた形跡は無い。
「ハルカさん、物盗りでは無いってことですかね?」
「・・・・・・・・・・・・・。」
・・おーーい・・・・・。
オレの質問を無視したハルカさんが、
鑑識班の人達が並べてくれていた遺留品置き場へ向かう。
「・・・・成田。」
「はい。」
「財布の中身がちゃんと入ってるから、そうだね。」
「そうだね・・というのは?」
「物盗りじゃないってこと。」
忘れてたぜ・・・。ハルカさんはけっこう時間差Q&Aを仕掛けてくる。
鑑識袋から財布を取りだして、お札がちゃんと入っている事を確認したハルカさんは、
そのまま免許証を抜き取った。
「・・・・・・・・・。」
「え~っと・・
被害者の名前は【上原シオリ】
え~っと・・これオレの2個下になるから年齢は・・・。」
「26歳。」
「え?オレの年齢覚えてくれたんすか?」
「計算しただけ。」