冬 -Domestic Violence-
「小泉、成田。ご苦労さん。」
「お疲れ様です。」
「おつかれっす!」
財布をまた袋に戻したところで、第一発見者に話を聞いていた先輩が戻ってきた。
「発見者の名前は中山リエさん。
被害者の会社の同僚。
無断欠勤が何日も続いて、
上司から様子を見に行くよう命じられて今朝ここを訪れたらしい。
呼び鈴を鳴らしても返事が無く、
ドアノブに手を掛けたら鍵が空いていたので中に入って・・って感じ。」
「なるほど・・鍵は開いていたっと・・。」
メモを取りながらハルカさんのリアクションを伺・・・あれ?
「ハルカさん?」
てっきり先輩の話をオレと一緒に聞いてると思ったら、
ハルカさんはベッドの傍に置いてあったゴミ箱の中身をガサゴソと漁っていた。
「どうしたんですか?」
「気付かなかった?」
「何がですか?」
「あの子の首元。」
「犯人の手形ですよね・・?」
「違う。キスマーク。」
「・・・・・はい?」
「もう1回見てきなさい。」