冬 -Domestic Violence-
「ご馳走様でした。
どれも本当に美味しかったです。」
「あ、上原さん。
ちょっとだけ待って頂いてもいいですか?」
「・・?・・はい。」
「大将!ちょっと外出てきますね!」
「・・・・・・・?」
「最近、通り魔事件があったでしょ?
自転車乗った警察官がいっぱいパトロールしてるみたいだけど、
女性一人だと心配なので、
駅まで送らせてください。」
「・・・・・・・・・。」
「・・・・・迷惑・・かな?」
「ううん・・・私も・・
もう少しお話したかったです・・。」
「・・・行こっか。」
「はい。」
月が綺麗な夜だった。
でも私は、それを指さしながら無邪気に・・くしゃっとなるその笑顔しか見えてなかった。