冬 -Domestic Violence-


私が所属する“貿易関連課”は文字の通り、

海外の客先や自社の海外支部とのやり取りを行っている。


だから海外への転勤も珍しい話ではないけれど、

入社以来ずっとお世話になっていた人が行ってしまうのに多少の寂しさが芽生えた。


「代わりに、向こうでバチバチにやってた俺の後輩が帰ってくるから、

そいつがお前の力になってくれると思うよ。」


「そうで・・。」

「川口さん!それってよくうちにメールしてくれる永川さんですか!?」


私たちの会話にリエも加わってきた。

どこから話を聞いていたのか・・
相変わらず耳が早い子。


「そうそう。

永川は中途採用ながらアメリカの客先をほとんど1人で開拓していった凄腕の男だけに、

俺と違って手厳しいからな。
気をつけろよリエ。」


「えー!?怖い~。」



私への用事は既に終わったと判断して、リエと川口主任を横目に自席へと戻った。

新しく来る人の事よりも、今日は19時から短大時代の友達とご飯に行く。


私にとってはそっちのほうが大切だった。

















 


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