冬 -Domestic Violence-
『ほふく前進が傍から見たら怪しすぎたんでしょうね。』
「あれはビワリーと目線を合わせて、
自首を促し・・・・・」
『・・・どうしました?』
「・・・・・・???」
左耳のイヤホンを取って、
両耳の聴覚をフル動員させる。
今確かに・・ネコの鳴き声が・・・
[ニャー!!]
!?
「いた!!ビワリーだ!!」
『転倒・衝突の二次被害の危険があります。
深追いは十分気をつけてください。』
寒さが深まるのに比例してすっかり日の入りも短くなり、
オオスカワ署を出たら外はもう真っ暗だった。
それでも夜行動物のように視覚をギラつかせ、鳴き声へ一直線に走る。
[ワイはそう簡単に捕まらへんで~]
そう俺を挑発するかのように、鳴き声をあげたビワリーがこちらに尻尾を向ける。
「・・望むところだ・・。
俺から逃げられると思うなよ?」