濡れた月
「ごめんな、ごめんな………」

父さんは謝ってばかりたった。


(父さんは悪くないのに!)



テレビをつけると、俺たちの生活を崩壊させた張本人が、ニュース番組のゲストとして出演していた。

ブラウン管の中で、コメントを求められ笑う、瀬波建設の社長、瀬波和弘。

俺たちの幸せを奪い去った男。


俺はアイツを許さない。


そう、誓った。




『こんなことをしておいて家に引き籠るなんて、人として失格ですな。せめて被害者の方々にお詫びをしに行くのが最低の礼儀でしょう』




――――――吐き気がする

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