濡れた月
それから一ヶ月。

世間のほとぼりも冷めてきた頃。

新しい生活のために、俺達は一家で引っ越しをした。


それまで都会で暮らしていた俺たちにとって、田舎暮らしは慣れないことだらけだった。

そして、あんな事件を起こしたことになっている父さんに、まともな職はなかった。

土木作業だったり、交通整理だったり。

父さんはがむしゃらに働いていた。

昼夜関係なく、身体を削って働いていた。



だけど、ある夜、俺はまた「幸せ」から遠く離れることになるんだ。

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