濡れた月
その日、皆が寝静まった後、ふと目が覚めた俺は、月に誘われるように外に出た。

手が届きそうなくらい大きな満月だった。

青白く輝く月は神秘的で、何物にも侵されない、不可侵の輝きを誇っていた。


俺達が引っ越した先には、裏に山があった。

俺はその森の中に泉のような所があることを知っていた。

その泉の上は何故か木が茂っていなくて、空がくっきりと見える。

田舎だから、空気が澄んでいて、星が落ちてくるんじゃないかと思うほどだった。



俺は、そこから見る月が好きだった。


不可侵の輝きを放つ月が。

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