濡れた月
そう決意した後、
俺は誰にも会わないように「家」を後にした。

冷たい雨が降っていた。

まるで、俺の「門出」を祝っているかのようだった。



そしてまっすぐ孤児院に向かった。

孤児院の前に座って、誰かが来るのを待つ。


数時間すると、施設の先生らしき女性が俺を見つけ、

急いで駆けてきた。


霧雨は強い雨に変わっていた。



涙は―――…

もう流れていなかった。
< 19 / 24 >

この作品をシェア

pagetop