濡れた月
朝、目が覚めたのは、インターホンが鳴ったからだった。

それもしつこく。


誰も出ていく様子がなかったから、俺はベッドからのそりと抜け出し、階段を降りた。

インターホンは鳴り止まない。

朝早くから何だろうと、眠たい目を擦りながら、玄関に向かう。

そして俺は、何の疑いもせずにドアノブに手を掛けた。


その時、母さんがどこかからパタパタとスリッパを鳴らして走って来た。


「晃っ!?駄目……!!」


そう叫んだけれど、もう遅かった。

俺はドアを開けてしまっていたから。

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