間宮さんのニセ花嫁【完】
夕食後、遂に梅子さんの評価を聞くときがやってきた。間宮さんと共に彼女の部屋に来ると二人して並んで正座をする。
梅子さんは相も変わらず澄ました表情で何を考えているのか読み取ることは出来ない。
「まずは今日はお疲れ様でした。大変だったことでしょう」
彼女の口から放たれた労りの言葉に「い、いえ」と首を横に振る。
「そして結婚の話ですが」
「っ……」
ごきゅりと喉がなり、膝の上に置いた拳を強く握る。聞きたいような、だけど聞きたくないような。今すぐに耳元を塞いでしまいたくなる衝動を何とか押さえ込んだ。
そして、
「貴女と千景の結婚を認めます」
……え?
「え?」
「何をトボけた顔をしているんですか? 情けない」
「え、でも……それってつまり」
梅子さんは一度溜息を吐くと「ですから」、
「千景、貴方をこの間宮の次期当主に任命します」
ハッキリと告げられた言葉だけは聞き逃さなかった私は足の疲労など気にせずに立ち上がると天井に向けて大きく腕を振り上げた。
「やったー! やった! やった!」
「こら! はしたない!」
「す、すみません!」