間宮さんのニセ花嫁【完】
あれから暫くの間、間宮さんに問われたことをずっと考えている。このまま偽装結婚を続けていいんだろうか。結局あの婚姻届はどうなってしまったんだろうか。
不安は尽きることのないまま会社へ出社する日になってしまった。
「あーすーか! 今日の夜空いてる!?」
「どうしたの、弥生」
「どうしたって! 飲みに行くって約束してたじゃん!」
出社早々、声に張りのある弥生の声が頭にガンガンと響いた。寝不足だからその声のボリュームは少し辛い。
そういえばお茶会が終わったら飲みに行こうって話していた。
「今日って、金曜日でもないのに」
「いいじゃん別に。約束だったでしょ?」
「それはそうだけど」
「お、柳下〜! この間言ってた飲み会今日ね!」
フロアに入ってきた柳下くんに話し掛けると「えぇ、予約取ってないですよ」と焦った表情を浮かべる。そうか、柳下くんがお店を探してくれていたんだっけ? 心配をさせてしまったし、そのお詫びと言ってはなんだけど参加させてもらおう。