間宮さんのニセ花嫁【完】
そこから次々と運ばれてきた料理は今まで私が見てきた中でも豪華なもので、前菜のカルパッチョに始まり、贅沢に雲丹を使ったクリームソースパスタは濃厚で口に含んだ瞬間に思わず間宮さんの方を見てしまった。
彼はそんな私の反応を微笑ましく思ったのか、「喜んでもらえてよかった」と何処か安心したように呟く。
間宮さんならこういうレストランの料理を食べるのも慣れているんだろう。お店の雰囲気にそわそわしている私と打って変わって、彼の落ち着き様は異常である。
あっという間にデザートのドルチェまでテーブルに運ばれてきて、濃厚なマスカルポーネチーズで出来たティラミスに私は頬を落とす。
「このティラミスめちゃくちゃ美味しいです! チーズがトロトロで、口に入れた瞬間になくなっちゃいます!」
「はは、そうか。俺の分も食べるか」
「え、いいんですか!?」
どうぞ、とお皿を差し出してくる彼に私は目をキラキラと輝かせる。間宮さんって、本当どこまで人間が出来ているんだろう。
お言葉に甘えて二皿目のティラミスを食していると不意に前から鋭い視線を感じる。顔を上げると間宮さんがテーブルに肘をつき、私のことをジッと見つめていた。
「あ、すみません。年甲斐もなくはしゃいでしまって」
「いや……少しだけ話をしてもいいか?」
「っ……」
き、きた……