間宮さんのニセ花嫁【完】
「な、なんで私が間宮さんのこと……」
「じゃないと兄貴のこと庇うためにあんなに必死になって俺のこと追いかけてこないでしょ」
「うっ……」
「あと顔に出てる」
「え!?」
そ、そんなに?と私は自分の顔に両手を添える。もしかして本当は間宮さんにも私の気持ち伝わっているとか!?
百瀬くんは「というか普段苗字呼びなんだ」と呆れたように指摘した。いつもは気を付けて会社以外では「千景さん」を徹底しているが、感情が乱れると「間宮さん」呼びに戻ってしまうところは気を付けなければならない。
「ん? ということは別に二月で離婚しなくていいのか? ずっと夫婦続ければ?」
「どうしてそうなるの!?」
「だってお互い好き合ってるのに別れる必要ある?」
「え……」
一瞬彼の言葉に舞い上がりかけたがブンブンと激しく首を横に振った。
「ま、って……ないから! 私は間宮さんのこと好きだけど、間宮さんが私のこと好きなのはないから!」
「でも好きな相手じゃないのに流石に結婚までする?」
「……と、とにかく! 間宮さんのはそういうのじゃない!」
駄目だ、変なところでポジディブを発動しては自惚れて終わるだけだ。彼の発言を強く否定し、私を気を取り直すように正座した。
「もういいんだよ、悩んだけど今言ったって間宮さんを困らせるだけだし。悲しいけど二月で終わりにする」