間宮さんのニセ花嫁【完】
沢山考えたりもした。しかし最終的に方法がこれしか思いつかない。
間宮さんを笑顔にしたい。彼が抱えている後悔を取り除いて、ずっと幸せでいてほしい。
そう思っているのに私が彼を困らせるんじゃ意味はない。
「諦めるんだ?」
「……」
「……まぁ、兄貴訳ありだしな」
訳あり? しかし彼はその美しく整った顔を顰め、しばらくの間悩みに悩み抜いたあと「よし!」と何かを意気込む。
そして、
「俺、あーちゃんのこと応援する」
「は、はい?」
百瀬くんの発言に呆気に取られるのはこれで何度目だろうか。私は戸惑いながらその言葉の真意を尋ねる。
「話聞いてた?」
「うん、聞いてた。でも残り二ヶ月しかないんだし、この際最後まで見届けさせてもらおうかな」
「せ、性格悪っ」
「それでもし離婚した後もあーちゃんが兄貴といたいときは……」
そう言って視線を外し再度考え込んでしまった彼。どうかした?と声を掛けるとハッとしたような顔で「何でもない」と明るく笑ってみせた。
とにかく百瀬くんは秘密を外にバラそうとする様子はなくて安心した。そして私は書類の管理をもっと慎重にしようと心に誓う。