間宮さんのニセ花嫁【完】
お写真に収まっている彼の表情はどこか緊張気味で、どちらかというと今の百瀬くんに似た風貌の間宮さんが映っている。
すると同時に同じクラスに紗枝さんと正志さんの写真もあることに気付く。本当に同じ高校に通っていたんだなぁ。
「紗枝と正志とは一年生の頃からずっと同じクラスだったな。この頃ぐらいから二人が付き合い始めたんだと思う」
「へぇー! 本当に長いんですね!」
「そうだな、俺はよく二人から相談されてたから板挟みにあっていたのを思い出したよ」
それから行事ごとのページを開くと彼の高校生活の様子が垣間見れた。間宮さんが映っている写真には必ずと言って紗枝さんと正志さん二人も映り込んでいて、本当に仲が良かったことが感じ取れる。
彼は私の隣で写真を眺めながら高校時代の思い出を少しずつ語ってくれた。私の知らない時代の間宮さんの話は興味深くて、新しく知れる彼のことに心がときめくのを抑えきれなかった。
「あ、このページは修学旅行ですかね?」
「確か京都と奈良に行ったんだ。清水寺が印象的だったな」
修学旅行も楽しそうだな、とそのページを眺めていた私はとある一枚と写真に目が止まった。それは間宮さんとある女性のツーショットであり、彼の表情で不意打ちで撮られたものだというのが分かった。
この人、制服を着ていないということは先生、とか?彼の隣に映る女性は若く、そして可愛らしい印象の人だった。
「この写真……」
そう詳細について彼に尋ねようとした次の瞬間、それを遮るように彼がアルバムを閉じた。
顔を上げると無表情でアルバムの表紙を見つめる彼の姿があった。