間宮さんのニセ花嫁【完】
確かに大人数に囲まれた状態でボロを出したら取り返しのつかないことになる。それに間宮家の集まりとなると梅子さん以上に厳格な人が沢山いるイメージがあるし、今後のことも考えて不参加になるのはありがたい話だ。
「そうねぇ、一人一人挨拶するにも凄い人だし一日じゃ無理でしょう」
「ですので大晦日は私たち二人ともいませんが家のことを頼みましたよ」
「は、はい!」
何だか重大な役目を任された気分だ。しかし大晦日にゆっくりできるのは助かる。
しかしそれは梅子さんの次の言葉で覆された。
「因みに使用人は全て明日からお休みを言い渡していますので家に残るのは貴方たち二人ということになります。改めて頼みましたよ」
「……へ?」
一日家に私と間宮さん二人だけ。それがどういうことを示すのか、その時の私は理解できていなかった。
大晦日の朝になり、梅子さんと桜さんは朝早くから本家へ向かうようでその見送りに出ていた。
「それでは家を頼みますよ」
「夜には帰るから。あと夕方から天気が崩れるみたいだから戸締りしっかりね?」
そう言って車で出掛けていった二人を見送ると家に静寂が広がった。今日から小学休みということでお手伝いさんたちは既に家を空けている。
本当に私と間宮さんの二人だけになった。
「普段人が多いと凄く静かに感じるな」