間宮さんのニセ花嫁【完】



「どうかしたか?」

「百瀬くんからちょっと」


紅白が終わったら家に戻ると書いてあるがこの忙しさの中本当に帰ってこられるのだろうか。
残りの出番も頑張ってねと返信していると向かい側にいた間宮さんの方から小さな呟きが聞こえた。


「百瀬と仲がいいな」

「え?」

「いや、気が合うなと思って」

「同じ歳ですし、話していて楽なのは確かにありますね」


そういえば大掃除とかで忙しくて私たちの関係が嘘だと百瀬くんにバレてしまった話をまだ間宮さんにしていなかった。
こんな大事なことを共有していないのは危ないし、失態を晒すとはいえ話しておくべきなのかもしれない。


「あ、あの……」

「百瀬はいいやつだよ」

「……え?」


私の言葉を遮るように発した彼に目を見開く。


「少し自由奔放なところがあるが、悪いやつじゃない」

「(……あ、)」


本能的に私が避けたい話だということが理解出来た。

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