間宮さんのニセ花嫁【完】



と、


「……って、どこ向かおうとしてるんですか!?」


レストランを出るといつのまにか用意されていたタクシーに流れるように乗り込んだ私たち。
隣に座る間宮さんが運転手に向かって住所を告げるが、全く聞き覚えのない住所だった。


「話は早い方がいいと思って。ほら、明日も休みだし」

「話って……」


あまりにも強引な話の持っていき方に今日一番の冷や汗を掻く。
無事に走り始めたタクシーの中、間宮さんが私を横目に見て艶やかな笑みを浮かべる。

様々な笑顔を見てきたけど、この顔は初めて見た。


「実家、すぐ近くだから」

「……へ」


神様、私は早まってしまったのでしょうか。


< 22 / 309 >

この作品をシェア

pagetop