間宮さんのニセ花嫁【完】
と、
「……って、どこ向かおうとしてるんですか!?」
レストランを出るといつのまにか用意されていたタクシーに流れるように乗り込んだ私たち。
隣に座る間宮さんが運転手に向かって住所を告げるが、全く聞き覚えのない住所だった。
「話は早い方がいいと思って。ほら、明日も休みだし」
「話って……」
あまりにも強引な話の持っていき方に今日一番の冷や汗を掻く。
無事に走り始めたタクシーの中、間宮さんが私を横目に見て艶やかな笑みを浮かべる。
様々な笑顔を見てきたけど、この顔は初めて見た。
「実家、すぐ近くだから」
「……へ」
神様、私は早まってしまったのでしょうか。