間宮さんのニセ花嫁【完】
『今は辛いかもしれない。だけどいつか、いつかまた間宮くんに大切な人ができた時に……』
大切な人が、……
『これを渡してあげて?』
ずっと前から答えは決まっていた。
「間宮、さん?」
間宮さんはゆっくりと目蓋を持ち上げると私を見つめ、何かを決意したような表情を向けた。
そして、
「飛鳥、俺は君が好きだ」
「っ……」
「君のことが好きだった。また、君を失うことを恐れてその気持ちを伝えることが出来なくて、悪かった」
いつも諦めたような顔をしていた彼がこの時は初めて私の気持ちと真正面から向き合ってくれたような気がする。
そんな決意が伝わってくるような告白だった。
「だけどもう迷わない」
そう言って彼は私の腕を取るとぐっと自分へと近付けた。
「あの子供だった頃の俺とはもう違う。この先何があったとしても」
「……」
「守るよ、君を」