間宮さんのニセ花嫁【完】
おまけ
恋する二人の季節
早いもので間宮家で過ごす日々も一年半が過ぎた。
季節は冬になり、木枯らしが吹く中一年に一度の女子たちの祭典が訪れる。
「飛鳥は今年チョコレートどうするか決めたの?」
「チョコレート?」
桜さんに作ってもらっているお弁当を食べ終えた私は弥生の話題に首を傾げる。
「もう直ぐでバレンタインでしょ。間宮さんに何かあげるの?」
最初は人から間宮さんの話題が出る度にくすぐったいような気持ちになっていたが一年も言われ続けてしまえば慣れたものだ。
飛鳥と間宮さんが!?と驚いていた弥生も今でも普通に彼のことを私に尋ねてくる。
「あ、そっか。バレンタイン……」
「忘れてたの?」
「うー、ここ最近ちょっと忙しくて」
間宮家にいると行事ごとが多すぎて逆に一大イベントを忘れてしまうような不思議なことが起きる。
2月14日はバレンタインデーで女性から男性にチョコレートを送るのが日本では恒例となっている。
そっか、今までは社内でチョコをあげていたけど今年からは個人で間宮さんにあげなきゃいけないんだよね。
昨年のバレンタインデーにも彼にチョコレートをあげた記憶があるが、あまり思い出したくないような……
「今日帰りに一緒に買いに行かない? 百貨店でイベントやってるらしいよ」
弥生が机の上に開いたパンフレットを覗き込むとそこには様々な種類のチョコレートが載っていた。こんなに数があったら目移りしてしまう。