間宮さんのニセ花嫁【完】
「その考えがなかった! 確かに付き合ってるんだから手作りでも問題ないよね」
「付き合ってなかったら手作りあげちゃ駄目ってルールもないけど」
というかさっきから私と間宮さんが付き合ってる前提で話しているけどここだけの話事実婚だとはいえ結婚してしまっているんだけど。
しかしその辺を最初から話すと長くなるため話の端折らせていただく。
「手作りチョコなんか数年ぶりに作るかも。失敗しそう」
「教えてあげたいけど私もだわ。周りに料理上手な人いないの?」
「いないこともないけど……」
弥生は「じゃあさ」と広げていたパンフレットを閉じる。
「飛鳥の本命は手作りってことで。会社で配るやつは私が考えとくからそっちに集中してくれていいよ」
「え、悪いよ」
「いいって。その代わり間宮さんの話聞かせて」
「……」
絶対そっちが本音だな、ゴシップガールめ。
間宮家に帰ると部屋に荷物を置き、早速彼の元へと向かう。今を通った時に姿を見なかったからきっと自室だろう。
自分の部屋から間宮さんの部屋まで一直線の廊下を駆け、部屋の扉越しに「千景さん」と呼び掛けると中から返事が聞こえた。
「お、お邪魔します」
「おかえり、遅かったな」