間宮さんのニセ花嫁【完】
結婚へのステップ2
上司が、婚約者
紗枝さんの呉服店からの帰り道、私は車を運転してくれている間宮さんに尋ねる。
「間宮さんが家を継ぎたい理由って、紗枝さんと正志さんのことだけが理由なんですか?」
確認するように告げると彼は「いいや」と、
「勿論それだけじゃない。二人のこともそうだけど、色々と折り合いがついて便利だからな」
間宮さんは私に視線をよこさないまま否定をする。まだ何か、間宮さんにはどうしても家を継ぎたい理由が存在する。だけどそれを私に言う気はない。
そしてあまり踏み込まれたくない部分であることも同時に知った。
月曜日、凄く会社が久し振りに感じる。それ程にこの土日は濃い二日間となった。
昨日のうちに家に帰っていたので家からの出勤になる。私の会社はマンションから歩いて20分ほどにあり、交通機関を使わなくてもいいから色々と便利だ。
朝の日差しに照らされた歩行者道を歩いていると後ろから肩を叩かれた。
「弥生!」
「おはようー、飛鳥。朝から眠そうだね」
「ま、まぁ」
土日の間はあまりゆっくり出来なかったからなぁ、まだ疲れが残っているのかもしれない。
弥生と共にオフィスビルに向かっていると「そういえばさ」と彼女は気になっていただろうあの話題を切り出した。
「結局、金曜日の間宮さんの話ってなんだったの」
「っ……」
そういえば弥生から何かそれに関して連絡が来ていたかもしれない。あまりの忙しさに返す暇がなかったけど。